ケ、ヶは、箇、個の簡体字として中国で使われている个を、日本式のカタカナに置き換えたものであり、数量のあとにつける助数詞(数を表す語に添えて,どのような事物の数量であるかを示す語)の代表的なもの。「リンゴ1ケ」「三ヶ月」などと用いられる。普通は、「1ケ」なら「いっこ」、「三ヶ月」なら「さんかげつ」と読むが、「1ケ」の場合はわざと見たとおり「いっけ」と読むこともある。「ケ」と「ヶ」の大小の違いは、特に決まりはないようで、「ヶの方が小さくてかわいい」と思うならそちらを使えばよい(そんな理由で選ぶ人もないであろうが)。
中国語の个は現在でも代表的な量詞(日本語の助数詞のこと)として用いられている。中国料理の店で餃子定食を一人前頼むと、「ギョーテーイーガー」と念仏のようにとなえられる、あの「ガー(ge)」がそれである。この个は、かなりオールマイティな語らしく、中国語初心者で、そのものの助数詞がなんであったかわからなくなった場合、とにかく「ガー」と付けておけばよさそうである。筆者も中国語については不勉強であるが、先ほどの「ギョーテーイーガー」にしても、日本では「ギョーテー一人前」とか「ギョーテー一丁」というところを「个(ガー)」ですませているのだから、なんでもかんでも「ガーガー」言っておけば、寛大な中国人にはおそらく理解していただけるものと思われる。そんな中国の影響を受けたわけでもなかろうが、日本でも最近、いちいちその対象に見合った助数詞を考えるのがめんどうな若い連中の間で「コ」が、「僕には弟が一コいる」「弟は二コ年下です」などと使われている。
またケ、ヶは、連体修飾格の「が」の替わりとして「霞ヶ関」「吉野ヶ里」などと用いられる。この「が」は「の」に置き換えることができ、例はそれぞれ「霞の関」「吉野の里」といった、あまり面白みのない意味になる。(CAS)