人間到る処青山あり

にんげんいたるところせいざんあり、じんかんいたるところせいざんあり

 人間到る処青山ありの「人間」は、本来「じんかん」と読み、「人の世」を意味するが、現在では「人間(にんげん)」の意味としても解釈されている。また「青山」は墓、墓所のこと。中国、北宋の詩人・蘇軾(そしょく)が弟の蘇鉄(そてつ)に送った詩の一節に「是処青山可埋骨(いたるところのせいざんほねをうむべし)」つまり「人間はどこで死ぬかわからない」とある。この詩は、蘇軾が弟に「オレたちは永遠の兄弟なのだから、オレが死んだら故郷に残してきた家族をよろしくね」と、ちゃっかり家族の世話を頼むという、かなりネガティブな内容のものである。幕末日本に生きた尊王攘夷派の僧・月性(げっしょう)は「是処青山可埋骨」に着想を得て、「志を立てて故郷を出て、大成するまで帰るな、死に場所は故郷ばかりではなく、どこにでもあるのだ」とやたらポジティブな詩にしたてあげた。この詩の「埋骨何期墳墓地 人間到処有青山(死に場所は故郷ばかりではなく、どこにでもある)」という部分は、「埋骨何須桑梓(桑梓=故郷の意味)地 人間到処有青山」などとされて、中国の抗日運動の戦士のスローガンなどに使われていたようで、「人間到処有青山」は中国や台湾でもポジティブに解釈されている。抗日運動で使われた「埋骨何須桑梓地 人間到処有青山」が月性の詩の引用なのか(抗日運動の指導者たちは日本で学んでいた人が多いので不思議ではない)、実は月性の詩がもともと中国にあった詩のパクリなのか、そのあたりのことは定かではなく、詳しい方があればぜひご教授願いたい。(CAS)


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