粗茶

そちゃ

 粗茶とは、粗末な茶、つまり安っぽくてあまりうまなくない茶というような意味で、お客に「粗茶ですが」と言って出される茶である。大事なお客にそんなまずい茶を、しかもわざわざ事前にことわって出すなんてどうかしていると考えるのは、「謙遜(相手より自分を低い立場に置く人間関係のシステム)」という日本文化を知らない人であり、このケースで茶を「これは静岡産の銘茶です」などと言って出そうものなら、お客は「おまえはそんなに偉いのかい」と腹を立てることになり、このややこしい人間関係にうまく対処したいと考えるなら、静岡産の銘茶を出そうが、普通のお茶を出そうが、言葉どおりのまずいお茶を出そうが、「粗茶ですが」のワンパターンでよいのである。

 もっとも近年は、「粗茶ですが」などといって出すと、ほんとうにまずいお茶を飲まされると思い込む(ほんとうにまずいお茶を飲まされることも多いが)バカなヤツも増えたので、この奥ゆかしい風習も徐々に消え去ろうとしている。ではお茶を出す場合、最近はなんと言うかというと、「いらっしゃいませ」などとなんの関係もないことを言うか、「どうぞ」とあいまいなことを言うか、なにも言わないかであり、お茶というものが商談などの場においていかにどうでもよいものであるかを如実に物語っており、まさに言葉の象徴的な意味において「粗茶」になっている。(CAS)

カテゴリー:図解付き解説

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