この辞典の使い方>「う」で始まる言葉>外郎(ういろう)の意味、語源
カテゴリー:食文化、料理、食品、食材
外郎(ういろう)とは、米粉や小麦粉に砂糖をまぜ水でといて練ったものを蒸した和菓子。名古屋や山口の名産品として知られているが、あまり喜ばれないおみやげのランキングで、「おこし」などと並んで常に上位に顔を出す実力者でもある。ういろうを喜ばない人々は、苦い緑茶に合う滋味豊かな味わいを知らないのである(といっても、あまりフォローにはならないが)。
「外郎」という名称は、もとは漢時代以降の中国の官名であった。元(げん)王朝の役人で、室町時代に日本に帰化し自ら陳外郎(「陳係長」みたいなものだろうか)と名乗った人物が、「せき・声・のどに」あるいは「お口の恋人」的な漢方薬に「外郎」の名を付けて販売したのが発端だったといわれる。この漢方薬の「外郎」がなぜ和菓子の「ういろう」になったかは不詳だが、苦い薬の口直しに「ういろう」が適していたからだともいわれる。現代では、甘くてもっちゃりしたういろうの口直しに苦いお茶が一杯ほしくなり、「ういろう」と「苦い飲み物」の良縁は不変である(って、やはりフォローにはなりそうにない)。(CAS)