サイレント・マジョリティ(silent majority)とは、公の場で意思表示をすることのない多数派の大衆をいい、1969年にアメリカのニクソン大統領が演説で「声高に政府批判をする者は少数派であり、大多数の物言わぬ国民は政府を支持している(ここではベトナム戦争に関して)」と言ったことから、権力者の希望的憶測、あるいは憶測に基づく詭弁をいう言葉として用いられるようになったもの。現代ではこの「憶測」は拡大され、新聞の世論調査でさえ「マスコミが恣意的にねじまげた数字であり、数字に表れない人々の声に真実がある」とまで言われるようになり(もっとも、この論法を使いたがるのは少数派の方であるが)、一方で、ネットが発達して大衆が匿名で気軽に発言できるようになったことから、「うるさいだけの多数派」が増殖するという現象が起きている。(CAS)